頭上で合図を鳴らす 機械仕掛けのスターター 黙らせるを口実に 零れてったメランコリー 生き急ぐ理由など無い 古い水辺に映る揺らめく鱗の 目配せを無視して生簀を目指す時 過去にもなり得ない風景 定刻通り上り線 流れに逆らって 誰も知らない指定席へ コインだけじゃ届かない 後付けの日常に 素知らぬ顔して泳いでゆくよ 息苦しい水槽に 投げ込まれるタブレット 決まり切った分量に 退屈なレパートリー 無機質な泡を吸い込む いつからこんなにも深くにいるのか 眩しい光さえここでは歪むのに 君だけは鮮やかで 暗く濁った世界の天井が 落っこちてきて 始めての空気に触れた日から 幻のようにただ 朧気に艶やかに 僕の頭を泳ぎ回るのさ 揺れ動く日々がくれた言の葉と 脆く儚い氷のカーテンを 季節が変わる頃には 全て溶かして終わりにしよう 渇くマイクロフォン、 アンプは錆びている それでもここで音を鳴らしたい もがきながらたどり着いた 水面の向こう側で 命一杯呼吸をするんだ