虚像のまち 雨に濡れた街にただひとり 冷めた風がほとぼりを奪う 閉じた日々に光は見えなくて 空に向けて吐き捨てたこの声は 届かないままで ぼやけた夜に逃げてゆく 融けて消えた 春の面影を 瞼に透かすように 夢を見ていた 愛してしまった 虚ろな花を 楽園はどこにもないと わかっていたのに 誰もいない部屋 名前のない色 終わることない微睡みのように とうに消えた灯りを眺めている 融けて消えた 春の面影を 瞼に透かすように 夢を見ていた 愛してしまった 虚ろな花を 楽園はどこにもないと わかっていたのに ただ祈っている