赤い靴を磨く また静かに遠ざかる夏に 小便垂れた犬が俺を掘り 起こすまでは 朝から晩まで靴を磨く また静かに遠ざかる夏に 山椒のいい香り さんしょう 生命保険が吹き抜ける しがみついたモデルの女よ 振り向いて 日が落ちてヤりたい時に 切なさが分かればいい 日が落ちて目を逸らすお前の 素肌に沈みゆく黒い星 街中そこらで感じる せん妄の気配に歩調を合わせる犬 一斉に鳴り止むフラメンコ 君の心を知ったように 鼓舞したフラメンコ 低いところを打つ風も妙に険しい 考えなしに立つ街灯に 小便たれている犬 その横で妄言垂れている俺には 君達の愛が鬱陶しい 煙突の向きがおかしい 雛菊の向きがおかしい 笑う君の何かがおかしい 日が落ちてヤりたい時に 切なさが分かればいい 睦言比べに飽きる頃には お前を許せたらいい お前を許せたら 赤い靴を磨く また静かに遠ざかる夏に 置いてかなくちゃいけないものは 何? もうじき地獄の門が開く