彼女の項垂れた目が言う ここは私の居場所じゃない 信号待ちの間に疲れた手を 買い物袋が滑り落ちて ぶちまけられたカフェオレを見る 早く青になれ このままじゃもう気が狂いそう くたびれ千切れたビニールテープの 端をささくれみたいに割いてみてる なんかちょっと似ているなって 笑いそうで堪えている ぐちゃぐちゃになって 飛んでいってしまえ 鍵を探した鞄の中から するはずの無いような 景色を浮かべている 誰かが言う言葉や それを見た表情すら ドアが開けば、乗ってって どこまでも運ばれて 笑顔になれたら どうなったっていい もうどうだっていいからさ 部屋の前では不安がノックして 高揚感のツケを払えって息巻いて そういえば昨日また繰り返しだった 9日も雨は止まないんだ テレビはクイズ食べ歩き殺人事件 眠気が来れば済む話だし 明日が生まれる 私の気も知らないで どうせ笑える冗談だ 目を血走らせながら いま暗い夜を割いていく あの列車へと還っていく 気付かれぬまま手を振って どうなったっていい もうどうだっていいからさ 誰も通らない夜更けも 信号は静かに変わり ぶちまけられたカフェオレの色 赤と青をまた行ったり来たり 繰り返している