AWA

0314 (feat. dingerbox)

Track by小宵

3
1
  • 2023.03.14
  • 2:42
AWAで聴く

歌詞

そう、2月14日、 君があいつの下駄箱に入れた チョコレートの箱を、 僕はこっそり抜き取った。 誰も気づいちゃいない。 僕は君が見逃した流れ 星にさえなれない路傍の石だ。 恋愛なんかに微塵も 興味はないですって顔をして、 これ見よがしに「堕落論」 なんて読んでいる、 君のあの短く切りそろえた爪が、 ココアパウダーにまみれて、 あいつのためにがんばろうなんて 思っていたのに、 うまくできないものだからちょっと 苛立ってさ、 やっぱりもうやめようなんて 考えたりしたのかな? それでも、箱に詰めたんだね。 かわいそう。 かわいそうでこんなに愛おしい。 甘い。苦い。 3月14日、 君は友達からもらった 色とりどりのお菓子をたくさん 机において、 困ったように笑っていた。 姦しい女の子たちの輪から 一歩外側に弾かれて、 何かの義務みたいに、 包みの一つを開いて、 オランジェットを咥えた、薄い唇。 ねえ、 甘いものは好きじゃないよね。 ちょっと苦手なんだよねって、 そう言えばいいだけなのにさ、 君は臆病すぎるから、 チョコどうだった? なんて聞くこともできない。 君が無理して箱詰めした 苦い恋心は、 誰にも気づかれないまま、 僕の胃の底に消えてしまうのです。 きっと無かったことになるんだね。 無視されたって思ったら、 きっと潰れてしまうから。 君は黙って、無かったことにする。 だから、 僕の胃の底に消えてしまうのです。 その不器用さを、不格好さを、 みっともなさを、 僕だけが知っていればいい。 空の箱が愛おしいのです。 ねえ、 あいつも甘いものが 苦手なんだって、 知らなかったでしょう? 僕にくれたなら、 おいしかったよって 言ってあげるのにな。 もちろん、 そんなことを望みはしないよ。 僕は路傍の石に過ぎない。 君が作ったトリュフチョコレートと 同じだ。 だから、君だって同じだ。 ひとりきりなんだよ。 ただ、僕とおそろいの、 ひとりきりでいてほしい。

このアルバムの収録曲

  • 1.0314 (feat. dingerbox)
このページをシェア
小宵
の他の曲も聴いてみよう
AWAで他の曲を聴く
はじめての方限定
1か月無料トライアル実施中!
登録なしですぐに聴ける
アプリでもっと快適に音楽を楽しもう
ダウンロード
フル再生
時間制限なし