あの日の君が救われる日をずっと 待っている たおやかに振られたそれを 握りたくて、 気づけば走り出していた 瞭然と気付けたのは、 君の手に温度がなかったから 白く、ひんやりと、しっとりと、 僕に触れる熱 今は失われた熱 夢の中で僕ら、ずっと笑っていた 白く、つやりと、光る君の歯 齧った骨によく似ていた 罫線の上をペンが走る 右肩上がりだね、 と君が笑った文字は、 いつからか右肩下がり 君のことはなんだって覚えていたい いつか忘れちゃうから覚えていたい 罫線の上でペンが踊る 「二度と現れないで」 滲む文字で締めくくった 夜と共に消えゆく泡沫、 何度も狂う僕、花に囲まれた君 夢の中で僕ら、ずっと笑っていた 今では笑えなくなった僕が、 ずっと笑っていた あの日の僕が救われる日をずっと 待っている 叶うはずのない夢だと告げる夢 右手には白い花を、 君には本当のさよならを 僕の前には暗い道を、 それでも進むべき道を 照らす灯りを探していたら、 いつしか大人になっていた