見えないものを 抱えすぎたから 荷物は少ないほうがいい 重たい体は 地上に忘れて 遠い国へ行こう 許すために傷つきたい 祈るたびに こぼれる 夜明けの雨が雪に変わる 古い街に呼ばれて北へ行く ああ ふるさとによく似た曇り空は 渡り鳥の夢のあとさき あなたでさえ忘れてしまったもの 僕はずっと憶えていよう 古い鞄や 時計や指輪に 宿った神様 風が歌えば春が来る 僕にはそれがわかる 何処に行っても何をしても 僕の真ん中には闇が在る この体でこの心で今日まで 息をしてきた この夕闇を匿うように 朝日から逃れて西へ行く いま 何もかも黒に溶ける窓際 18時間の フライトが終わる