君はずっと 昔から 恋の歌ばかり聴いてる あの頃に 夢見てた 王子様なんか居やしないのに 実際、ありふれた思春期に 君を騙した悪い男が 染めたその心も肺も 「よくある話ね」 それだけのことなのに エンジンの揺れが止まると ふっ と目を醒ますように この街では突然、秋が来る 夜行バスの窓が いやに悲しくて 涙堪えていたんだ 私は大丈夫 きっと 空を塞ぎきった 分厚い遮光カーテンを 少しだけ捲って深い闇に呑まれる 熱帯びた額に 窓が冷たくて 消灯のアナウンス 降る郷 もう振り返らない イヤホンで塞いだ 耳が痛くなるほど 長い夜を 一人越えて行くよ さよなら 後悔はしないように せいぜい忙しく 過ごす未来を描いて 固く瞼を閉じる 私の知らない夜に 消えていく君は、君は、笑ってた ふと目を覚ましたんだ 長く寝た気がしたけど たった1時間の眠りだったと 気がついた 少し夢を見たよ 新しい秋の陽に かわいい笑顔が、願いが ゆっくり沈んでいく、東京。