仕事終えた初夏のこと 雨はもう上がっていた 歩き慣れた海岸のその先に きみがいた 揺れる三つ編みに心奪われて 目が離れなくて 瞬きの後に残った姿は 夢か幻か ふわっと薫る 夏の悪戯に 惑わされて ふと手が伸びていた 近づけない 届かない 触れられない 蜃気楼のよう ピーク過ぎた季夏の午後 もう一度出逢えたらと 通い慣れた海岸に今はもう 一人きり 白いワンピース 大きな麦わら帽子 目を閉じては 何度でも 呼び起こす まだ残る熱に浮かされて 居ないはずのきみが此処に ふわっと薫る 夏の悪戯で 伸ばした手が きみに届かなくても それでも構わない この恋が 嗚呼 蜃気楼でも