貴女の手をまた撫でていたんだ 昼下がり 「昨日より 少し顔色がいいね」 眠ったまま 僕が項垂れたって 今日は変わらないから 前を向こう この狭い視界の中で 歳だけ重ねていくんだ 穏やかに過ぎる時だけが 愛しいんだ 有り触れた未来を ただ、待っている 薄紙細工の薔薇の花、枕元散って 洒落た飾りをあげれば 笑うだろうか? 窓の外を眺めて 物思いに更けた 心ない朝が来て、また。 「此処で良い」 と言ったって 貴女はあなたの儘だ 移り変わる温度と景色に 置き去りにされるんだ 筆で囲っても、 瞬間を収めたとしても ああ 思い出は褪せていく 記憶が流れていく 味気のない日々 それでも僕らは歩いていく 一歩ずつ あなたがいれば 世界は色付いていく いつしか願っていた いや願ってしまったのは自分だ 「元通りにならなくてもいい」 今日を生きてくれさえいれば 何十年の月日が 伏せたまつ毛の上を滑っていっては 花びら溢るゝは白色 うたた寝から目が覚めて 途方に暮れた 分かっていた 独りの庭に映る月は綺麗だ 過去をなぞってみせても 忘れてしまったみたいだ 不器用な言葉しまって 廻る憂いになった
