壇上 判然と語らう先輩の顔を 見つめて 凡庸でしかないわたしはこの上なく 焦がれた 長い髪を切り落としてゆく この性格も嘘で固めてく あなたのようになりたくて 嗚呼 減らしていく 削り 刮ぐ わたしは路傍の石だから 輝くためにはわたしを型に嵌めて 気取らないと 演じないと 先輩みたいにならないと 無価値なこと 誰よりわかってるからね 卒業してあなたは去った 私は在り続けた 人からも慕われ始め 憧れになっていた それがとても心嬉しくて 夢に少し届いた気がして あなたに近づけたかな? 嗚呼 粧していく まやかしてく あなたを着込んで幕開く それしかわたしに 価値などないのだから あの日焦がれ見たあなたの笑顔を 素顔に貼り付ける 笑い方を忘れたこの素顔に そっと 鏡の前で吐いて 涙浮かべて 嘔吐いて 吐いて 泣いて 理由もわからなくて 私は憧れを得た代価に何を 亡くしてしまったの? 嗚呼 壊れていく 崩れていく それすら上手く誤魔化していく 今更私はわたしになれないから 型が馴染む 遠のいてく 誰もがわたしを忘れていく だけどこれで 私になれたのならいいんだよ