川で泳ぐ魚のように、 花冷えを疎む日々で 私たち気付かぬ内に 何処へでも行けると思うの 例えば空の谷、海の端、 電光の切れたコンビニ 或いは雨が渇いてくアスファルトを 往来する蟻を踏むゴムの靴 快適な部屋でまた当社比の絶望を 数える為の単位を探す物語のなかで 借りてきた虎の威が 恥ずかしくなる朝が来て 捉える為の美しさに 目を焼かれている 畳縁踏み越えるように、 忌まわしき事に務む日々で 頑なに静かな方に 何処までも行こうと言うの あの目が迸っていくほどその炎や その鼓動がただ呼応する度、 遊べば肌は焼かれてくらしい 韜晦するふりをする駄目なやつ 最適な暮らしでまた 本物だって確かめている 言いたい為の真意に集う 物笑いと同じで 毎日が腐乱臭にまみれ、 絶望さえ高尚な営み 苦しむ為の息苦しさを まだ愛している 言葉が円を描いて その中心へと向かう運動の力が 周を変えてその形でいずれ固まる、 金平糖のよう 川で泳ぐ魚のように、 抱き寄せて共に寝付くように、 踊れずに立ち尽くすように、 諦めて一人帰るように、 何処までも行ける指差す方に、 でも頑なに静かな方に、 やけに暑い陽が射すとおり、 意味さえないひとりよがり 快適な部屋でまた当社比の絶望を 数える為の単位を探す物語のなかで 借りてきた猫みたく 黙って時折怯えて見せて 捉える為の美しさに 目を焼かれている 苦しむ為の息苦しさを まだ愛している 喩える為の例示並べて こじつけて息する