木目から滲み出た揺らぎ 疑問が心の引き出しを少しずつ 少しずつ抉っていく 苦笑い、歪に出来た空白に匂う 患え、痛哭に染まった ただ、見ないで いつもの事に机に向かう 傾いた花瓶の藍菊 虚な目は無価値なまま 日々を見てきた ふと窓の木枠に傾ける 棚上の薬瓶を鈍く照らした 幕帷から覗く光は 飢えを兎角満たさない 頬 体温が消えていく 倒した花瓶 溢れた水 不可思議な感覚に 映し出した過ち 年季の入らない制服と こぼした心と乱れ髪を 無機質に暖めた 落ちていった斜陽と視界に 遠くから消えてゆく煌めき 期待したのか分からないことだけが それだけが解っていた 嗚咽も何もできない 意識、瞳孔は薄れ 甲斐性もない心は 不安を噤み目を閉じた いつの日の事を思い出させる 夕陽の落ちてく様 街路灯は未だ点かない 遠くを見ていた ラジオの向こう 優しい六弦 飴玉の味も香りも空白なまま 思い出せないから 飢えも何も満たせない 思い出は幻肢痛となり 理性は心の疑問を捉え見てた つもりだが見れなかった 何も何も変わらない 意識は憂いを叫んでいた ただ、蓋を閉めて殺した心は また駄目だったんだ