等しく光孕む 夜の中 冴やかの空 東の雲 私だけに見えている 名残を 吹き降りの雨音と 木々の葉先 滴しずか 目映く見えた明かり 気付かれぬようにと 通り過ぎるだけで 心は豊か 川へと 海へと 土に変わる 緑色付けば やがて人になる 隣を歩けば 人から街へ移りゆく 昨日の景色は 遠い朝の向こう 迷わず 暗澹差し込む小暮 瓦礫の中 木の下闇 密やかに靡いている 天気と季節に交わらないもの 明日この窓を開けて 何が見えるのか 分からないままで おしまい すぐに巻き戻す 空虚な営み 「また明日の朝」 未遂で終わるほどに 浅くて安い物差しなんて 手放してしまえばいい 枯らす 街並み溶けてゆく 石は土へと どこに流されても 皆ひとつだった 泳いで辿り着く 深海には 誰かの足跡と 心残りが在る 浮動へ