先の事ならわからない なら 10年前から そういう意味で未来を描く ポジティブでもネガティブでもない 「福島の震災をネタにした売名 ラッパー」 そんな言葉でも傷つかないほど あの日 空いた口は今だ塞がらない 向かい風すらも前向きな 「早く帰って来な」 行方不明の名簿の上で 涙は枯れてなお 流れ落ちる 剥がれ落ちた 屋根瓦 10年経っても 「震災をバネに」 なんて 言えず まだ 何も終わっておらず だってまだ 喉の奥にしまったままの 「おかえり」がある 行き場を失いながら生きた節目 仮設住宅の屋根が色あせる頃には 町が色取り戻すと思ってた 10年前 の福島 生きながら 訪れる別れがあることを 忘れてたわけじゃない 見てみないふり してたかも 正確にはどこかで 生きていると願う 様な別れ それは星の瞬く間 ここにあの星の光は届くが 実際には もうあの星は 存在しないような 生きていた間の 面影の残像を 一生涯、命の瞬きとして いつか 井の中 プライドが せまい大学の講義の合間の 海沿い ファミマ ホットスナック 缶コーヒー片手 新舞子 サークルに好きな子がいるだとか 穏やかな海 眺め 聞き流した あれは いつの春だったっけ 夜中 目が覚め なかなか寝付けない時 たまに思い出す 人生はなんて長いんだなんて思う 朝焼けと共に聞こえる 原付のエンジン音 安堵の表情 穏やかな波を見にまた防波堤を 越えて なんて大学卒業しても いわき市に行けば またいつものメンツで 変わらずに 続いて行く ものだと思ってた 今じゃ 他愛無い会話 1つ思い出すだけで精一杯 生きながら 訪れる別れがあることを 忘れてたわけじゃない 見てみないふり してたかも 正確にはどこかで 生きていると願う 様な別れ それは星の瞬く間 ここにあの星の光は届くが 実際には もうあの星は 存在しないような 生きていた間の 面影の残像を 一生涯、命の瞬きとして 10年前(震災後)の東京は福島を 避けていたが 10年後(コロナウイルス 流行中)の福島は東京を避けていて 10年前の祖父母は孫が 結婚するまでは死ねないと 言っていたが 10年後の祖父母はもう一度、 孫に会うまでは死ねないと 言っている 未来が暗い程に小さな光が 輝いたなんて皮肉 ただただ明るくても暗くても 見に行くべきだ 良く考えた 90才を過ぎた福島の老夫婦が 2021年に東京の孫に会える確率 普通に会う事自体が今夢に勝った こんな事を何度も何度も描いては 消した 何度も何度もこの道を行ったり 来たりした 未来はきっと何度も何度もここを 通り過ぎる そして何度も何度も言い聞かせる 生きながら 訪れる別れがあることを 忘れてたわけじゃない 見てみないふり してたかも 正確にはどこかで 生きていると願う 様な別れ それは星の瞬く間 ここにあの星の光は届くが 実際には もうあの星は 存在しないような 生きていた間の 面影の残像を 一生涯、命の瞬きとして 一生涯、それを 命の 瞬きとしたら この瞳を永遠に閉じる日まで 瞬きする度に あなたを思い出す 一生涯、それを あなたがまだ生きている 希望としよう もう10年か この調子で行くと 次に会う時はきっと お互い相当歳を取ってるかも まぁ、その時はその時で いつか、瞬きなしで、 また会えますように