気が付けばまたこの季節 薄紫の桔梗が咲く頃 あなたが大事に育てていた庭先の花 幼い頃あなたの差し出した ひとさし指を強く握っていた あの指は誰よりも優しく ぬくもりだった いまあなたに会えたら もう一度聞きたい 傷口をさすりながら言ってくれた 「大丈夫」 私も少しずつあなたの年齢に 近づいてきたからか よけいに側に感じています あなたはいつの日も 気丈に振る舞って 自分より私のことを 気遣い続けていた 最後の最後まで母親でした いつだって心配ばかりされるのは 私の方で 寝たきりになってもまだあなたは 心配いらないと言う もしあなたに会えたら 今度こそ言いたい 心にもないことを言ってしまって ごめんね 私も母になりあの涙の意味が 今になってわかったと もう伝えられないけれど あなたのような母に なれているでしょうか 迷った時 あなたならといつも考えています いつまでも私は子供のままでした 五つの花びらが繋がって咲いている 途切れる事のない絆 教えてくれた人 最後の最後まで残してくれた人