ひょっとして、お前 やり直せるなんて 思ってるんじゃねぇだろうな? その背丈、姿、形からは 想像も出来ない様な低い声で 少年は罵った まるで路上の物乞いでも見る様な 冷めきった目付きで睨みつけるから 俺は身動きが取れなくなったんだ 食い散らかした弁当と カップラーメンのゴミが 夢を覆い尽くした小さな部屋で 砂嵐のまま付けっ放しになった テレビが薄暗い部屋を 微かに照らしてた 過去の栄光にすがりつく事が 出来たのはもう思い出す事が 出来ない程遥か昔で いや、それももしかすると ある種のバイアスによって 美化された過去なのかもしれない 誰かの期待を背負って出来損ないの イエスマンになってしまったなんて 言い訳をしながら あんな大人にはならねぇと 振りかざした安っぽいプライドは どこかに忘れてきた 言い訳はやがて嘘に変わり 息をする様に 無意識に口から嘘が溢れて 次第にその嘘は本当になって 本当の嘘がどれか分からなくなった 嘘、秘密、毎日の憂鬱 金や欲が隠した真実 雨、孤独、そこに残る 見栄と維持と小さなプライド 磨りガラスの向こうで鳴き喚く鴉 いつもの取り立てが来た事を物語る 奴が来るのは決まって午後六時 几帳面な性格で飼われた奉公人 踏み倒した額は覚えちゃいない このストレスと恐怖で チャラにしようや 欲を吸って愚痴を吐くその口が 癖になってる 「やるさ、そのうちな」 土俵際は疾うの昔に過ぎた もう戻れない過去の灯火さ 沢山はない未来を浪費して それはついに底を尽きた 成功が光ならそれ以外は影ですか? 全てはあの時のツケだ これはその代償だ 精算しなかった罪をなぞっては 平行に並んだ傷痕を舐めた 分かってるどうせ見様見真似で 騙し騙しここまで 来ちまったからだろう 戯言だらけの真似事を重ね 腫れ物扱いの化物と化して 体温を持たないただの紛い物 生まれてから今の今まで迷子 先天的に欲深い俺が 最後に捨てたのは希望だった カーテンの隙間から差し込んだ光が 埃を吸って天国への梯子を作った 真っ赤な目をした少年が 俺の首にそっと手を伸ばした お前の欲しいものはなんだった? 愛、正義、金と名誉か? 行き過ぎた欲望の成れの果ては 欲に支配された怪物だった 本当に欲しいものはなんだった? 夢、自由、それともぬくもり? 少年よ君の人生はここまでだ どうか来世は幸せであれ