Track by牧野容也
長い夜の明けた先は、 風が吹き荒ぶ冷たい朝焼け。 膝をついた馬車の先に、 赤い灯が灯る。 轍の彼方に。 落ちた穂が舞う、風のまにまに。 一つずつ陽が当たる。 黄金色をした雨に。 西の空に逃げた鳥の果ては 見られない。 何を捧げても! 霧の中に見えた森は、 雨に濡れている。 獣が吠える夜。 袖についた煤の跡に、 ひとり灯を点す。 言の葉が舞う、風のまにまに。 少しずつ降り積もる。 透き通った二つの傘に。 開けた窓の外を渡る風は暖かい。 何を運んでも!