時は寿永三年 一ノ谷源氏と平家の合戦 平家 忠度 右腕を肘の上からプツリと落とされ 首も取られた! 腕を斬られ 首も取られ 忠度の手勢約百騎 なんと!主見限り捨て逃げ ああそうさ!寄せ集めの百人 一人も残らず浜へ退散 いやちがう いやその目で この柿の木を見よ まだ実はないこの木は だがいつか必ず実を付ける 誰が船で逃げただと!? それより平家の軍兵よいずこ? いずこ (みな手を伸ばせ 拳を突き上げろ) 逃げる船へと群がった 一千もの軍兵 沈むぞ! すがりつく腕を斬り離せば 無惨 悪あがきもむなしく 沈む船は泡を掴む 数多の腕を斬り落とす 身分だけが正しさ しがみつくな!離すな! 雑兵たちは腕だけ ぶらさがり残るは腕 腕だけ! まさか薩摩守その護衛が 皆逃亡したとはまさかな! 急げ!忠度様の元へ しかし間に合わず目にしたものは 首も胴もなく 右腕だけ残された 渚に打ち上げられた 大量の腕と無念をただ お命救えず口惜しく 拾い集めては弔った この腕がする罪滅ぼし 安らかになんて言えない! 木端武者一千の腕 薩摩守の腕と共に! 腕を埋めて腕塚 奉れや!いざいざ (手拍子) 茂る枝の先には千もの腕を実らせ あぁここは腕塚 さぁはじまりだ!