窓の向こうに深い霧を見つめる君の 瞳を映した 割れた鏡みたいに虚ろな 「もうすぐ、ね」 冷たい声で 静かな部屋に響いた ぬるい水に浮かべた星を 泳いでもすぐほどけていく 「ねぇあなたの傷になりたいよ」 君のその手で爛れた傷口暴いて 欲しいよ 君ならいいよ ただ赦されたいよ 正しくなりたい 鈍い痛みだけが繋ぐ 閉じた瞼覆い隠す 21gの白昼夢が 濡れた服みたいな身体じゃどこにも 行けない 僕らの頭上を 漂う大きな魚影 まだ血が通う骨の浮いた 白皙の肌なぞるように溶けて 「ねぇあなたの底に触れたいよ」 君のその声で乾いた水底満たして 欲しいよ 君ならいいよ ほら 境も曖昧 世界も逆さま? 溺れるように惰性で眠る 息を吸って吐く度 小さく僕らは僕らを殺してきた 嚙み砕いた哀も飲み込めず吐き出す 息を吸って吐く度 綺麗に正しく 嗚呼 祈って首を絞めた 嗚呼 狂いそうだ 燻らす甘い孤独も 君がいる 正しくない? ねぇ正しく在れないよ 「ねぇあなたの傷になりたいよ」 君のその手から零れるものすらも 愛おしいよ 君だけでいい もういらない全部赦されなくても 二人眠るように堕ちる