夜のしじまをぬけ 朝の陽にふれたら ※陽(ひ) あまたある景色も いろづきはじめ―― 忘れていたものに宿る 朧ろなかがよい ふたたびよみがえる 微熱のような目眩 ふれあう指先 光素の調べ 影をふるわせる 形のない灯火 きかせて まだ知らない鈴の音 はるか遠く星空に 手をのばして とらえる どこまでも追いかける 時を止めたひかりが そしてまたたく 隔てられたものに伝う かすかな残響 知らずに引き寄せる 沙漠のようないとま つめたくあかるい 水晶のゆらぎ 夢にあらわれる 新世界の幻 きかせて いま消えゆく風花 すみやかに透きとおり ひとつになって こたえる はじめから知っていた ありのままの姿が 語りつづける いままで 届かなかったものが ふれられるようになり 意味を変えて かさなる 不確かな境界が ありそうもないつりあいを みせている