駅のデジタルサイネージには 今日も誰かの好きなひと あたしもそれになれたらな なんて 全ては人の真似事です 人じゃないの だから死ねないし 夢も見ないし 涙もないはずです 夏前の空気は湿度を持って 拭いたばかりの窓のようです 白い公団は輪郭をもって 河原で歩く人を見る 遠のいた車両 生活はこんなに多いもの? ねえ、あなたの心象風景は 何線ですか? もう会わないといいね 驚いた 人の営みはこんなに尊いの? あぁ、勘違いのような恋でも 確かに痛む 前頭前野じゃないところ 堰き止めていた何かが 口をついて溢れ出す前に あたしは海が見たいと思ったのです 全てが他人の真似事で オリジナルなんてどこにもいない だのになんで所在無いの ただうみねこが鳴いている 波が砂の足跡を攫えば 滅んだばかりの世界のようで あなたの横顔 輪郭思って 水平線をなぞってみる 想像した日々の色彩 あたしは泣いていたの? 遠のいた車両 生活はこんなに多いもの? ねえ、あなたの心象風景は 何線ですか? もう会わないといいね 驚いた 人の営みはこんなに尊いの? あぁ、勘違いのような恋でも 確かに痛む 記憶(メモリ)のおくふかいところ 目を閉じても見えるのは いつかの夕日を見るあなた 白黒のそれが夢だと知ったのは (電源切った後)