孤独や痛みに音はない バラバラにくだけた 言葉に色はない 言葉に色はない 祈りの残高は少ないよ 燃え尽きゆく夜 吹き消したキャンドル もう天使はいらない もう天使はいらない ハロー、グッバイ また スピードをあげて 季節に追い縋った 胸を裂いた ナイフのような 夢に目を見開いて さよなら、エンジェル あなたの知らないところで 火がひとつ 灯ったとして それを抱く腕も 照らされる肌も そのうえに書いた短い祈りの文句も ただ数本ひかれた 波型のシンボルのように 意味なさぬ問いとして 掻き消えるだけだろう きっとそこは原郷 薄い灰と影だけが残り 巧妙にうがたれた発狂を誘う穴が いくつも いくつも 美しく凍っている あの夏 八月の岬 また 忘却に追い越され つかのまの平静を結んだ右手の ちいさな火傷の理由を求め 苛立ち冷やすだけのなみだ 濡れた頬 乾かすだけの熱をと うなり声をあげた 獣の目には どうやら怯えばかりが血走って なぜ はじめから恐ろしかった すべてが 燃焼のうちに帰っていくこと いま どこで灯ったかもしれぬ 火の一瞥があんなにもあなたと 似ているということ 孤独や痛みに音はない バラバラにくだけた 言葉に色はない 言葉に色はない 祈りの残高は少ないよ 燃え尽きゆく夜 吹き消したキャンドル もう天使はいらない もう天使はいらない ハロー、グッバイ