甘い嘘がまだ 胸を刺し 頬を撫でる 遠のいた窓辺は 呼吸をするたび 色褪せてゆく 間(あわい)に揺れる 痛みを掬いたい 歩み止めた日を 追いかけて 変わらない両手を染めた 綺麗な毒を許して 茨壁の先に見つけた 慈愛と呼ぶ感情の花蕾を もう一度 育てたい 枯筐(かれがたみ)をただ 並べては 眺めている それは傷を隠すから 憐れみ 嗤っても 今 もう一度 たとえ譫言でも 失っても求めて 信じ続けて 背けていたものと 向き合うなら 嗚呼 (向き合うというなら) 振り返る姿 追いかけて 変わらない虚構を越えて 篝火に薪を焚べて 幾千と巡る邂逅は 軛(くびき)を断ち 轡(くつわ)を折る 掠れた上辺を抱き締めて ただ在るものを許して いつか彩りたいと願う 暗い暗い灰空の薄明りを もう一度 掴みたい