あの坂へ向かうことを やめた日から 見えるものは 増えたようで 変わらぬまま 塞いでいたもの 見える気がした 良いことはあったと 言われもしたが あの人の足取りは 早すぎたんだ この身を 投げ出したくても もう離れない いつもの勾配 「知らない」が 溢れる今を 無意識に 愛してしまう 僕が ずっと 着込んだ服を脱いだ 楽になったはずが 歩くことも減り 嬉しかったのに 窓の外を見れば 忘れきったはずの 息苦しそうな 空が睨む 置いてこれた ものはなかった あの坂の上に 見晴らしなんか なかった あなたが 見ることはないけど 足に吸い付いて離れない 今もそうだ あなたを 突き落としたくても ここにはない いつかの勾配 「知らない」が 溢れる今を 正しさと感じてしまう 僕が ずっと