最後のキスをしよう 春の中で お別れをしよう ほのかに春の匂いがする 暖房が入った部屋 腰下ろすソファー ぼんやりと 眠るような 落ち着かない風 セーターは着なくなったから 薄いTシャツ越しに触れる微かな 温度 それだけで隣にいると 錯覚してた “いい人”なんてどうでもいいよ “好きな人”じゃなきゃ 意味がないの スクロールする彼の背中 いいから振り向いて 最後のキスをしよう 髪払う指先が 迷いながら首筋かすめた 愛されたいなんて もう思っちゃいけない そうなのかもね 春なのかもね あと何回会えるんだろう 回数券の日々を 一枚また剥がす 行き先も知らないまま ただ彼の隣で揺られていたかった 曖昧なままの方がいいの 確かなものはすぐ壊れるでしょ? スクロールしても彼ばかり 映るダメな自分 初めて出会った場所に戻れたら 私たちは笑えるかな 使い果たしたの ただの紙切れ ぽっけにしまって なくさないように 最後のキスをしよう 最初の頃のように 迷う髪を振りほどいた 愛されただけで もう十分だよ 強がりかもね さよならだよね 春なのかもね