気まぐれな昔の詩人の妄想が 部屋の中を彷徨いている コップに一杯水を飲む振りをして 抜け出そうとするのを止めて 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 ぼんやりした朝の景色を裂くように 君もそっと呟く 「繰り返したくない」 蜃気楼の中もう一度 ぼんやり眠って欲しい 夢も同じことで 不思議なままでいい 濡れた黒い瞳を見詰め返すのは うしろ指を差されるのが怖いから 濡れた黒い瞳をふいに逸らすのは 夢を覗き込まれるのが怖いから 気まぐれな昔の詩人の妄想が 相変わらず彷徨いている 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 夢も同じことで 不思議なままでいい