何も出来ない 嘘を吐いて眼を瞑った 実際 大抵の事は上手くやれていたし 簡単なようにさえ 思ったこともあった いや そんなことはもうどうでもいいんだ 問題はそう 一切の感情が動かなくて 湧いてこなくて 苦し紛れに息を吸っている 今だ 僕は僕を「僕」と肯定できなかった 曇硝子越しに生きてるような 気がした 僕は歌う意味も何もかもを見失って 閉じたままの瞼の裏を 見つめていたんだ 何も要らない 呟いて目を開いた 実際 大抵のものは困らないでいられたし 五感があればいいと思っていたんだ いや そんなことはもうどうでもいいんだ 問題はそう 一切の現実は風に吹かれて 錆になって忘れてしまう その痛ましい事実だ 「僕」は僕という存在ではなく 何処か誰か何かとの関係だと思った 僕は窓の外の暗闇に眼をやって 閉じたままの世界のことを 見つめていたんだ 人は人を愛し愛し愛し 愛し愛し愛し合って 愛の塊になって人でなくなった 分かった 分かった 僕は息を吸って吐いて吸って 吐いて吐いて吐いて吐いて 閉じたままの口の中に言葉を殺した もう眠いよ