『なんにもないからだった 日の当たる暮らしにただ焦がれて 暗く濁った部屋で憎んだ あなたには消えない痣を刻んで 本当は自由な服を着たかったのに 『一瞬あと 未来はあるの?』 白に抱かれて遠ざかるのは 残されたわたしの凍る衝動 『どうにもならなかった』 救いのない暮らしにピントぼかして 首締めた本音を愛した 足らないはかわいいも傷口も 全て価値がないなら 残す寂しさだけ 『終わったあと どんな顔だろう』 無情に流れて頬腫らすのは 汚されたわたしの燃ゆる憎悪 軽蔑に歪む家族の写真も、 取り壊されたいつかの居場所も。 わたしを捨てたあなたの幸せも、 何もかも、灰に還せたなら。 『一瞬あと 未来はあるの?』 『終わったあと 何が残るの?』 屍蝋に抱かれて遠ざかるのは 残されたわたしの凍る衝動