“ひとつめのナゾは なぜ彼がひとりの部屋で 毒入りのワインを 飲まなければいけなかったのか?” 片うでの探偵の話をしずかに 聞いている 目のまえの少女に探偵は続けた “理由は簡単 彼はあのとき 死ぬべき宿命と 決まっていたのだから” さあ、犯人はだあれ? きみは答えを知ってるね だってきみの目のまえで すべて起こったのだから さあ、犯人はだあれ? きみが答えを言わずとも ぼくが教えてあげよう この事件の終わりを “ふたつめのナゾは 彼らが海へ落ちたワケ ほんとうに彼らのなかに 犯人がいたのか?” 少女はポケットのなか 忍ばせたナイフをにぎる 探偵は気づかず まだ話続けている “たったひとつだけ狂った計画 事件に 巻きこまれたもうひとりの探偵” さあ、犯人はだあれ? 探偵は少女の手から こともなげに叩き落とす 彼女の最後の手段 さあ、犯人はだあれ? ほら、きみのすぐ目のまえにいる! その名前をさあ、言ってごらん このぼくの名前を! ほんとうはきみに 知られたくはなかった せめてもの情けだ 逃げるならいまだ、はやく……! さあ、犯人はだあれ? 答えが“ひとつ”とは限らない それを確認するすべも もうじき消えてなくなる さあ、犯人はだあれ? ほら、はやくしないとぼくの手が きみを殺めてしまうよ もう時間がないんだ さあ、犯人はだあれ? きみは答えを知ってるね だってきみの目のまえで すべて起こったのだから さあ、犯人はだあれ? ほら、きみのすぐ目のまえにいる! その名前をさあ、言ってごらん このぼくの名前を!