海の見える町の 海の見えない部屋で暮らす 人の姿をして 人の生活を想う 牛乳を飲んだら窓を開ける ねこに挨拶をする カラスは叱る 誰かがやってたみたいにさ ていねいに暮らさない 絶対に 散らかしっ放しで遊ぶ 人間ごっこ 好き勝手 悲しんだり 怒ったり 太ったりする 裸足のままじゃ寒かろう 冬の砂浜を歩いてゆく ロマンチックじゃなくて 漁港の隣の小さな海 「好きだ」と言った途端 無性に悲しくなるの 誰もいない浜辺 なぜかしら涙が溢れて止まらない やがて音楽が止んで ひとりぼっち 取り残されたみたいだなあ 孤独に肩を叩かれる で、その手を握る 海の見える町の 海の見えない部屋で暮らしてゆく 人の姿をして また人を好きになってしまう