ひとりになって、安心するでしょう 静かな部屋に響く声 荷物まとめて、ここから出るから、 今は何も聞かないで 「私にだって、幸せはあるのよ」 そういう彼女は苛立って 煙草を吸って、煙が窓辺の、 光の中で照らされ 1通りの人生を 試すように染める胸の内側 もう1通りの人生を 探すようになぞる月のクレーター 街灯りを見て、佇む誰かの、 コートの裾がなびいている 埃っぽい空気、すれ違う彼らの、 足音も消える 語られたはずの、言葉や季節は、 割れてしまったガラスのよう 今頃遠く、浜辺寄せる波に、 洗われていたりするのか 1通りの人生を 試すように染める胸の内側 もう1通りの人生を 探すようになぞる月のクレーター 1通りの人生を 試すように染める胸の内側 もう1通りの人生を 探すようになぞる月のクレーター