Track by東儀秀樹
春のやよいの あけぼのに 四方(よも)の山べを 見わたせば 花盛りかも しら雲の かからぬ峰こそ なかりけれ 花たちばなも 匂うなり 軒のあやめも 薫るなり 夕暮さまの さみだれに 山ほととぎす 名乗るなり 秋の初めに なりぬれば ことしも半ばは 過ぎにけり わがよ更けゆく 月影の かたぶく見るこそ あわれなれ 冬の夜寒の 朝ぼらけ ちぎりし山路は 雪ふかし 心のあとは つかねども 思いやるこそ あわれなれ