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学校の先生

1,783
45
  • 2012.11.07
  • 5:13
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歌詞

みなさん、このたび このクラスをうけもつことに なりました坂上です。 仲良くやりましょう……。 小さな町の 中学校に 初めて来たのは 春のこと あれからいくたび 校庭に 桜の花は 咲いたろう 教えた子供は 数え切れない 安江は、生徒会費も なかなかはらえない 貧しい家の子供でした。 秋の遠足の時でしたが、 私は安江のために お菓子を少し買っていったことが あります。 彼女はお菓子の袋を持って 目にいっぱいの涙を ためておりました。 いまも忘れておりません。 しかしいまは元気に工場につとめ 夜は定時制高校に通っている安江 「生きていることは楽しい」と この間来た彼女の手紙に 書いてありました。 生まれたときは 誰でも同じ 裸で産声 あげるのに 子供の時から それぞれに 違った道を 歩き出す 私の力じゃ どうにもできない 孝夫は非行少年でした。 悪い仲間と付き合って 学校にも なかなか出て来ませんでした。 私も 何度か説教しましたが 聞くような子じゃありません。 ところがある日 彼が何人かの少年にかこまれて 喧嘩しているところに 出会いました。 私は孝夫をかばいましたが 映画のようにかっこよくは いきません。 たちまち少年たちに、 なぐられたりけられたりして、 私はのびてしまいました。 「先生、あんまり かっこつけるんじゃねえよ」 孝夫はそう云って 私に肩をかしながら 家まで送ってくれました。 それからです。 孝夫と仲良くなったのは。 今でも時々家に遊びに来ます。 運送会社につとめているそうです。 小さな町の 中学校に いつしか月日は 流れゆく 今年も近づく 卒業が 蛍の光に 送られて 巣立ってゆくだろう 教え子たちが 洋子(ひろこ)という子は 大変頭の良い子でしたが 早く死にました。 結婚をして別れた子もいます。 酒場づとめをしている子もいます。 大学受験を三回も 失敗した子もいます。 どうも幸せな子より 不幸(ふしあわせ)な子の方が、 よくおぼえているようです。 考えてみると、人間ていう奴は 誰だって多かれ少なかれ 不幸(ふしあわせ)を背負って 生きているようです。 より良い明日を願って いっしょうけんめい 生きているもののようです。 みんな負けるなよ、 みんな負けるなよ……と 私は そっと呟くだけです。

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