窓の向こう 夜がほどけて 山を照らす やさしい朝日 鳥の声が 今日を知らせる ぬくもりが カップから立ちのぼる そっと揺れる カーテンの隙間 一日の始まりが 息をする ここは 季節の揺りかご 春の顔 夏のにおい 秋の色 冬の静けさ ぜんぶ抱いて 眠る場所 山小屋の火が やさしく揺れる 静かな場所 影が長く 伸びる夕暮れ 茜に染まる 森の稜線 陽が沈んで 風が冷たく 静かに霜が 包んだ 山は語る 言葉のない声で 今日という日の 余韻を残して ここは 時間の止まり場 春の芽吹き 夏の光 秋の紅(あか) 冬の静寂 めぐる命の やすらぎの場所 山小屋の屋根に 季節が降る ほっとする場所 雲がそっと 降りてくる夜は 山小屋さえも かくれんぼ 遠くで響く 鹿のひと声 草の下では 虫が奏でる 音のない夜の中に やさしさが 溶けていく ここは 星のまほろば 春の夢 夏のうた 秋の終わり 冬のまどろみ どこか懐かしい ぬくもりの中 山小屋の窓に 宇宙が灯る 夢の場所 木々の記憶に 風が話しかける 小さな命が そっと時をつなぐ 季節は巡る 名もなき営みの中で 私はただ 見つめている ここは 私のふるさと 春が笑い 夏が踊る 秋が染めて 冬が眠る 全てはここに ただ在るだけ 山小屋の火が 永遠に揺れる 私の場所