さらさら霧雨 頬に雨 涙をぬぐう真綿の雨 はらはら流れるままがいい 心は震えるままでいい 裸足で歩きたいな ここは海じゃないさ 風 あなたの長い指が わたしの雨に濡れた 髪をそっと梳いてくれた記憶 突然 さらさら霧雨 宵の雨 肌にまとわりつくブラウス どんなに時間が経ったって こんな雨の日はダメになる 毛布にくるまりたいな はぐれた猫みたいだ 風 あなたの熱い指が ふいに首に触れたとき 身体中燃え立つように感じた 熱源 あなたのまだ温かい 指にくちづけをしたの 夜更けのリノリウムの部屋 あなたがいなくても わたしは生きのびた 変わってゆくわたしと 時代を見届けるの 風 雲が流れ三日月