春をまだ遥か遥かに 粉雪に霞んだ一本道 カミソリ色の歩道に揺れる 背中を丸めた淡い影 夜がテキトーにスッ転がした 木っ端みたいな雑居ビル 図鑑に載っていない歌達が 刹那に瞬く地下の店 あれからずっと 手を伸ばし続けてきた あれからずっと つかみ損ね続けてきた たかが足跡 されど足跡 曲がりなりにも一本道 もう諦めることはないだろう もう諦め飽きてしまったんだ 仄かに色づいた桜の蕾を つついて遊ぶ天気雨 ため息のようにあくびのように 性懲りもなくまた歩き出す これからもずっと 手を伸ばし続けるんだろう これからもずっと つかみ損ね続けるんだろう このままいっそ終われないまま このままいっそ終われないまま 終わってやるさ