二車線向こうの車から こっち向いてニヒルな笑い ああいう顔に弱いから すかした女を演じてみせた 真夜中の国道は 不気味なくらい静かで 立ち尽くす信号だけ 宇宙の隅にきらめいていた 昼間には見えなかったものが そこにあり あの頃見えなかったものが 痛いほど突き刺さる 「ほらあれが北斗七星だ」 つないだ祖父の手は しわしわで温かかった 見上げた星のかなしみが 月の影からのびている 私の心を見透かしているのなら 黙ってないでその答えを教えてよ 闇を切って車は走っていく 後ろから呼び止める声は マリちゃんでも コウちゃんでもなくて 幼いおさげの私です 昼間には見えなかったものに 気付いたとき なんだかゾッとした 茂みの中で 見つけられなかった 野球ボールを想う あの子は今何をしてる? 見上げた星のかなしみが 月の影からのびている 私の心を見透かしているのなら 黙ってないでその答えを教えて 「ほらあれが北斗七星だ」 よく働いた手は しわしわで温かかった 見上げた星のかなしみが 月の影からのびている 私の心を見透かしているのなら 黙ってないでその答えを教えて 教えてよ