吹き増さりし 風が 裸形(らぎょう)を つと 包む 開(あ)かぬ方の 眼には 逢えぬ 貌(かお)が 浮いて消える 何故に 終わらぬ 唄よ 此の 忌まふ 山に 謂う可(べ)き 事はない故(から) 恚(ふずく)みを 血の涙に 代える 嗚呼 此の 嘆きを 籠(こ)めて 嗚呼 血も涙も 涸(から)ぶ 嗚呼 彼(あ)の命に 意味よ 有らなと 風に混じる 音は 嘆く 鬼の 憂哭(うきね) 赤ん坊を 闕(か)いた 産衣(うぶぎ)を抱く 鬼は何処(いずく) 斯(か)かる 健気な 花を 此の 忌まふ 山に 封ずは 忍びない故(から) 血の涙に 代える 嗚呼 此の 嘆きを 籠(こ)めて 嗚呼 血も涙も 涸(から)ぶ 嗚呼 其の命で 道を照らした 貴方が 熄滅(そくめつ)を 血の涙で 願う 嗚呼 彼の 戯句(ざれく)を 止めて 嗚呼 迷いもせず 迷え 嗚呼 此の 怒りに 義など 要ろうか 何も 血の涙に 代える 嗚呼 此の 嘆きを 籠(こ)めて 嗚呼 血も涙も 涸(から)ぶ 鳴呼 此の命で 花を生けよう 何処かで