愛が泣いている 夕刻告げる 雨は、残酷に 君の姿を、隠した。 濡れた頬は、雨か涙 捨て去りたい、過去の何か 誰か助けて、の声と それを切り取る人の姿 曇天にアフリカンリリー この感情の意味 知らず知らず声を吐いた 電線に、水滴の譜面 曇天に、差し込んだ光 輝いた、唇に付けた歌と 切れ間に映える むらさき あの時、泣いていた愛が 巡り巡って、ぽつり、ぽつり 僕に降り注ぐ 歌に香る、雨の匂い あの時、泣いていたのは 僕だった。 声を 光を 僕の明日を 名もない歌を 日々の痛みを 君の怒りを あの花は 写した 見えない心と 藻掻く醜さ 「生きる」と書いた僕の辻褄 描いてた理想は、 容易く霞んでしまう 驟雨、掻き分け伸ばす手の行先は? アフリカンリリー、 君の花に見た青は 僕の藻掻いた姿と、似ていたんだ 雨はもう 夏の香りを纏って 秋雨にこの身縮めて、時雨 巡り巡って、ゆるり、 ゆらるこの歌と あの日、泣いていた愛がまた、 降り注ぐ 声よ、響いて ずっと遠くまで キラリ、光れ 誰かの光になれ あぁ 雨よ、君の落ちる この素晴らしい世界に 贈る詩。