はっきりとはじめて私の名前を 呼ばれたとき すっかり深い海へ潜り 込んでいたのだろう このままふたりが寄り添うならば、 自然の摂理と違う 夜の微睡に隠れていても窮屈が 勝つのでしょう 忘れない約束はできない、 それはお互い様だけど 今だけは、 過去になる今だけ信じきっていたい 写真にも手紙にも 残せない声の質感を栞にして 思い出す、 きっとそこにあなたがいなくなって も どうしようもないこと、 前から気づいていたような アネモネの花がこちらを見て 困っている 痛いね 剥がしていく過程 痛いよ 塩水が傷に染みる 怖いね 優しくない波が 私を砂浜へ打ち上げる 後付けの理由なんていらない、 それはお互いわかってるでしょう 今だけは、過去になる今だけ、 言葉にしない 五感さえ共有できるような 気になってた青さはもう 似合わない、 聡くなった寂しさは胸に隠して