風が運ぶ季節の終わりに目覚めると 空気が薄まっていて 浅い眠りの間にまた花びらひとつ 消えたことを知った 光を浴びて色づくわたしを 見てあなたは 無邪気で綺麗だと言うけど わたしの無邪気さは短い 期限のついた 生命の覚悟なんだ もしわたしを摘んで帰るなら 分かっていて もう何かを裏切る時間は 残っていないの ためらうように視線を 少しそらしてから あなたはわたしを摘んだ 汚れを落としてから コートのポケットに 優しくしまってくれた いつのまにか糸が ほつれていくように わたしの形は少しずつ消えてゆく それでもまだわたしを 愛するんだろうか 色を失いやせるわたしを見て 野に咲くわたしが 良かったと気づいて あなたは悔やむのだろうか もしそうでもきっとあなたはいつも 笑顔で水をとりかえるだろうと わたしは目をつむり わたしに残されている 幸せの数を数えた あなたのポケットの中で 幸せの数を数えた