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くだらない

Track by狐火

21
0
  • 2024.11.20
  • 4:03
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歌詞

「延命のための点滴の管が口元なら 幸い嚙み切ってやる」と 強気な笑みが消えて行った 日に何かを受け入れたんだと思った あんなに嫌いだった夏の暑さ 秋に現れるカメムシさえ あんなに嫌いだった冬の寒さ 春に空舞う杉の花粉さえ また会ってみたくなる エアコンの効いた病室 もう戻って来ない部屋に並んだ ベッドに うっすらと 残るあなたの寝相の形に歪んだバネ 安心感で膨らんだ夢一度だって同じ 音はないのに 何度も耳に落ち着く屋根の雨音、 日陰を探すだけの散歩の途中で 儚く色づく銀杏並木に1本の楓 紅葉するまで気付かなかった それは誰かの願いの様に冬が来る 前に毛布を干して 気付かないうちにあたたかくてそれ は当たり前という安心で 産まれた時から自分を支えてくれた 見えない管の様 自分の意志で生きること 自分の為に生きること 最後は自分の意志で生きること 周りのことなんて気にせずに 自分の為に生きること 同意のうえの延命の点滴の管が 産まれた時にへそに繋がっていた 管と 絡み合っていたとしても 祖母が倒れた2週間後に帰省した 実家で 「金曜日で41才になるよ」 と祖父に伝えたら 「41才になるのに結婚もしないで 何してる」 と言われ思わず 「ばあちゃん(祖母)が隣にいたら、 おめでとうって言ってくれたと 思うよ」 と言ったそしたら一瞬時が止まり 「そうか」と一言 自己嫌悪と 後味の悪い会話どっちみち嚙み 潰した苦虫 静寂に響く祖父の咳と針が 12を指すと鳴く鳩時計 何かを受け入れ何かを突き放し 例え自分を騙し騙しでも 翌朝、 母親に原稿用紙を 100枚オーダーしている祖父を見て 「まだ書くの?」と聞いたら 「最後の一小節(一文)まで何が 起こるか分からないから」と あぁ、確かに 夕刊に祖父の描いた 小説が4週に渡り掲載されていた 内容は 『幼い頃に大きなドジョウを飲み 込んだ』という話だった これはまだまだ先が 長い話になりそうだなと思った 心の底から笑みがこぼれた 自分の意志で生きること 自分の為に生きること 最後は自分の意志で生きること 周りのことなんて気にせずに 自分の為に生きること 同意のうえの延命の点滴の管が 産まれた時にへそに繋がっていた 管と 絡み合っていたとしても 弟が産まれた時に祖父母と訪れた 病院で管に繋がれた老人を見た ほんの壁数枚を挟んで 始まりと終わりが見えた気がした 「管で始まり管に終わるなんて くだらないね」なんてこの冗談を 言うため お前が来るのを 待っていたんだってさ 「それもなかなかくだらないね」と 涙をおしころして笑った

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