プラハの記憶は断片的だ。 いつどのようにして辿り 着いたのかも定かではない。 大切な何かを無理やり 引きちぎるような そんな感覚だけを今でも身体が 覚えている事は確かだ。 プラハの街は好きだ。 露店で マリオネットをしているおじさんは いつも笑顔をくれるし ダンプリングは美味しいし 真っ青な空も橙色の屋根の街並みも 心を元気にしてくれる。 でも、なんでだろう、 うまく笑えないんだ。 思い切り大声で笑えないんだ。 とても大切な何かが 心に刺さったままなんだ。 ダメだな、 夜になると気持ちが弱くなる。 そうだ!カレル橋にいこう! 今日は満月だし、 誰かが楽器を 演奏しているかもしれない。 マドンナリリィの唄が 歌いたいなぁ。 裏口から静かに出なくちゃ。