今にも滴り落ちてきそうな 濡れ雑巾色の空の下。 しかし桜の蕾は漲って いよいよのその時を待つばかり。 どこからここまで? ここからどこまで? 椿の花は尚赤い。 路(みち)に落ちてからこそ尚赤い。 捻くれた棒切れを杖にして 荒れた赤土を踏み進む。 にわかな風に木々がしなり ウグイスが途中で鳴くのをやめた。 どうやってここまで? ここからどうやって? 椿の花は尚赤い。 路に落ちてからこそ尚赤い。 いたずらに切り株の上に立ち 戯れに声を張ったけど こだまは返らず山間は ただ黙々と春先だ。 やっほー 当てはなくとも果てはある。 いつか必ず果てはある。 椿の花は尚赤い。 路に落ちてからこそ尚赤い。 路に落ちてからこそ尚赤い。 椿の花は尚赤い。