吾輩は人である。 名前はもう、既にある。 なのに何故か分からない。 何もかもが分からない。 何を求め、何を恐れ 何の為に、何を成せるか。 一人ごとに、他人ごとに 違い、混じり、生きている。 変わり続ける。 でも、なるべくそのままで 理想を描き、矛盾を抱き 味わっている。 街の明かりに薄れた星空。 コンクリート畑に震える木と花。 利便性の山に濁った海と川。 なんだか今日は月が綺麗だな。 誰も彼も人である。 名前は疾に知っている。 なのに何故か分からない。 何もかもが分からない。 廻り続ける。 また同じ場所を通って 理由を増やし、孤独を分かち 噛み合って行く。 片手間の灯りに冷めてく人肌。 塞がれた耳に萎れた言の葉。 掲げた自由に繋がれた首輪。 それでも今日は月が綺麗だな。 正しさに溢れた世界の中で 自分の正しさを貫くことの難しさ。 人という字は支え合うだけではなく 歪み合い、慰め合い ぶつかり合い、寄り添い合い 絡み合い、混ざり合いながら できて行くのでしょう。 そして最後の最後に 手を繋ぎ、背中任せ、 支え合うのでしょう。 分かり合えることはない。 でも、分かち合えることはある。 自分勝手なやつばかり。 でも、愛おしくて堪らない。 愛おしくて堪らない。