水の抜けたプールの底で 置き去りの夏を数えている 触れた指先 まだ 君の温度を覚えてる 風がフェンスを鳴らして 午後の光が滲む 乾いた空気の中で 時間だけが泳いでた 言葉よりも確かなものを 探していた季節がある 名前もない痛みだけが 今も残ってる 君の声が水面を揺らす もう聞こえないのに 心の奥でまだ響いて 夏が終われない 落ちた木の葉がひとつ 光をすくって沈む 何もないこの場所に 君の影を見つけた 思い出すたび滲む空 呼吸が少し苦しくて それでも目を閉じれば 君が笑ってる 水の抜けたプールの底で 季節の残り香を探す 触れた指先のぬくもりが まだ消えなくて さよならの言葉より 確かな沈黙があった それがきっと愛だったと 今なら思える 君の声が水面を揺らす もう届かないのに 置き去りの夏の中で 僕はまだ息をしてる 水の抜けたプールの底で 光がひとすじ落ちてく 消えそうで消えない影を そっと撫でた
