いつもよりも向かい風が強く ペダルを踏む足も疲れてきた 少しだけ遠回りになるけれど 風を凌げる細い小道通っていこう もっと早く出掛ければよかった 時間には間に合わなさそうだ きっと君は不機嫌になってる 言い訳探せるかな? あのタバコ屋さんを曲がったら赤い屋根が見えてくる 大きな犬がいつものように吼えてくるはずだから それを合図に君が窓から顔出して笑ってる そうだとうれしいんだけど… 思っていたよりは怒っていない だけどやけに僕より先に行く さっき言った言い訳が嘘のように 背中を押す風に変わっている 「待ってくれよ!」なんて言える立場じゃない 君の前に行くのも違う気がする しばらくはこのままで居ようか やっぱり怒ってるのかな? 通りすがりの人から見れば不思議に写っただろう 「真剣な顔した男女が追いかけごっこしている」 追い風に乗った自転車は加速してゆくばかり 遅れた分取り戻せるかも… あの急な坂登りきったら青影トンネルだ 車の排気ガスで煙いのを少しだけ我慢すれば 目の前が広くなった先に目指す海が見えるよ そしたら機嫌直してね