張り詰めたような朝が すこしゆるみはじめた 晴れた日には 出かけよう 遠い空 飛行機が溶けてゆく 菜の花揺れる土手 見上げればひばりが歌う 春になったら 春になったら あなたに 雨が降るように 花びら散って 緑は萌える 沸き立つように風薫る 畑では麦の穂が ちりちりと擦れ合って どこからか虫の音が聞こえてくる 夏になったら 夏になったら あなたと 身を焦がすような蝉の声も消えて 鈴の音 窓辺でそっと 触れなくてもわかる 揺れる木の葉 もう夏にさようなら 沈んでゆく日の色が赤く染まる 秋になったら 秋になったら あなたは 赤や黄色に染まった葉も 乾いた風にさらわれていく さくさく 歩くたび日に光る霜柱 遠くに見える山 砂糖菓子みたいだね どこからか漂う 煙のにおい 新しい冬 新しい季節を 覚えている 君が忘れても