月は、夜を溶かすように ひとり寂しく宙を佇んでいる。 塞いだ、寄る辺のない願い。 ひとつだけでも 分かち合えたら……。 どうして? ただ、手を重ねてほしいだけ。 「叶うのなら……。」 手を合わせて祈った。 焦げ付いた暗闇の奥底を、 まばたいて剥がそうとしている。 遺された、虚しさの空の向こう。 儚い光、消えないでいて。 きらめいた過去の空を、 心から愛おしく思う月。 夜空の星よ、 聞こえているのなら教えて。 「もう叶わないの?」 ばらばらに砕け散る写真は、 わたしの帰る場所は、雲に隠れた。 風に吹かれた花びらのように、 離ればなれに。幸せな日々。 同じ夜空を、同じ傷みを、 見つめる瞳を、照らし合わせたら。 この歌がいつか、あなたの傷みを やわらげるような日が 来ますように。